豪ドル/円相場は、90円台前半でやや底固い展開になっている。対米ドルでの豪ドル安は継続しているが、リスク投資環境の地合安定化を受けて、再び円売り圧力が強くなっていることが豪ドル/円相場を押し上げている。豪ドルのファンダメンタルズの弱さを、円売り圧力が辛うじて相殺した形になる。もっとも、6月中旬の値位置を回復するのに精一杯であり、改めて豪ドル買い・円売りを進める動きは鈍い。
7月2日にはオーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)理事会が開催されたが、政策金利の誘導目標は2.75%で据え置きとなった。一方、スティーブンス総裁は、豪ドル相場について「依然として高水準にある」、「今後更に下落する可能性があり、そうなれば経済成長のリバランスが促進される」として、事実上の豪ドル安誘導を行っている。豪ドル相場は4~6月期に12%の値下がりとなっているが、中国の成長鈍化に対する懸念が高まっていることもあり、中央銀行の豪ドル高に対する懸念は根強い。実際にRBAが追加利下げに踏み切るには、実体経済の明確な減速が確認できる経済指標などが要求される可能性が高い。ただ、依然として緩和的な政策スタンスにあることが、特に対米ドルで豪ドルの上値を圧迫し易い状況にある。
もっとも対円市場では、値下がりリスクは限定的と考えている。ドル/円相場が再び1ドル=100円の節目を突破するなど、再び円売り圧力が強くなっている。中国の短期金融市場の混乱が収束に向かう中、改めて円のファンダメンタルズの弱さが注目され易い地合になっている。豪ドル/円相場はボトム確認に向かう見通しである。もっとも、対米ドルでの軟調地合が続く限りは、本格反発を想定するのも難しい。現行価格水準で保ち合い気味の展開を想定したい。
今後1週間の予想レンジは、91.00~94.00円。